サステナブルな展示会ブースとは?環境配慮型ブース設計のポイントを解説

近年、展示会業界でも「サステナブル(持続可能)」という考え方が注目されています。展示会は、環境への影響が大きいイベントのひとつです。そこで求められているのが、廃棄物削減や再利用を前提にした環境配慮型のブース設計です。本記事では、サステナブルな展示会ブースの考え方と、実現するための具体的なポイントを紹介します。
なぜ展示会ブースにサステナブル設計が求められるのか?
展示会の現場では、木材やプラスチック、金属など多くの資材が使用され、会期終了後には大量の廃棄物が発生します。従来は「短期間のイベントだから仕方ない」とされてきましたが、企業の環境意識の高まりやSDGsの普及により、その価値観が変化しています。
今や展示会の出展も、企業の社会的責任(CSR)やブランドイメージに直結する要素と見なされているのです。
企業ブランディングとの関係
サステナブルなブースづくりを実践する企業は、環境に対する真摯な姿勢を示すことができ、結果として企業イメージの向上にもつながります。
再生素材の活用やCO2削減の工夫を行うことで、展示会そのものをCSR活動の一環として位置づける企業も増えています。
来場者の意識変化
来場者の中にも「環境に配慮している企業を応援したい」と考える層が増えています。とくに若年層や海外バイヤーの間では、サステナブルな取り組みが企業選定の判断材料になるケースもあり、展示会ブースの設計がマーケティング戦略に影響を与えることも少なくありません。
サステナブルな展示会ブースを実現するための素材選び
環境に配慮したブース設計の基本は、使用する素材の選定から始まります。従来の木工ブースや合成樹脂素材に代わり、再利用可能な軽量素材やリサイクル資材を活用する企業が増えています。
再生素材・リユース素材の活用
紙を原料とした「リボード」や「段ボール什器」は軽量でありながら高い強度をもち、再利用やリサイクルが可能なサステナブル素材として注目されています。
さらに、アルミフレームを使用したシステム部材も、分解・再組立てが容易で、複数回の展示会で使用できるためコスト削減にもつながります。
レンタル什器の活用
資材を毎回新調するのではなく、レンタル什器を利用することも有効な手段です。照明・パネル・カウンターなどの備品を共通化することで、廃棄物を減らし、輸送や設営の負担も軽減できます。
レンタルサービスを提供する業者の中には、環境配慮型の什器を取り扱う企業も増えています。
デザインと運営で意識すべきサステナブルの工夫
サステナブルな展示会ブースを設計する際は、素材選びだけでなく、デザインや運営面にも工夫が求められます。
ミニマルデザインで資材を削減
ブースの装飾を必要以上に豪華にせず、シンプルで洗練された構成にすることも、環境への配慮につながります。装飾を減らすことで、資材の使用量を削減できるだけでなく、ブランドメッセージをより明確に伝えやすくなるという利点もあります。
デジタル技術を活用した情報提供
紙のパンフレットやカタログを大量に印刷する代わりに、QRコードやタブレットを活用してデジタル資料を閲覧できるようにする企業も増えています。
これにより、紙の使用量を削減しつつ、来場者に最新情報を提供することが可能です。また、ディスプレイで動画を流すことで、紙面では伝えきれない製品の魅力を訴求できます。
施工・撤去時の環境配慮も忘れずに
ブースの施工や撤去時における環境配慮も、サステナブル設計の重要なポイントです。
分解・再利用を前提にした設計
ブースを組み立てる段階から「分解して再利用できるか」を考慮した設計を行うことが大切です。モジュール式の構造を採用すれば、パーツごとに保管・再利用がしやすくなり、次回以降の展示会でも同じ資材を活用できます。
廃棄物の分別とリサイクル
撤去作業の際は、資材ごとの分別を徹底することが求められます。木材や金属、紙素材などを正しく分けることで、リサイクル業者への引き渡しがスムーズになり、最終的な廃棄量を大幅に削減できます。
まとめ
サステナブルな展示会ブースとは、単にエコ素材を使うだけでなく、設計・運営・撤去のすべての工程で環境配慮を徹底したブースのことを指します。企業のブランド価値を高めるだけでなく、コスト削減や長期的な再利用の面でも大きなメリットがあります。来場者の環境意識が高まる今こそ、持続可能な展示会ブースへの転換が強く求められています。自社らしさと環境への思いやりを両立させたブースづくりこそが、これからの展示会成功のカギとなるでしょう。




